H君のピアノ発表会の曲選びは、波乱ずくめ!
H君は、ピアノを習いはじめて1年がたちました。
男の子ですので、力強い曲が発表会で弾き映がすると思いそのような曲を選びましたが、ことごとく却下!
「どんな曲が弾きたいの?」と聞くと
「スタッカートが、あんまりなくて~」
講師の私は、意味不明の言葉に困惑!
どうやら、流れるようなメロディーを弾きたいのかと思っていると
お母様に伺うと「軍隊行進曲」を一番弾きたがっているとの事!
じゃあ~ 流れるようなメロディーでもないようです。
お母様も今のH君のレベルでは、まだ無理と思い お家で色々な曲を聴かせて下さったようです。
その結果 H君自身の言葉で
「お父さんが好きだから バッハのメヌエット(最近、バッハが作曲したのではないと言われています。) を弾きたい」と言われました。
皆さんもご存知のように「バッハのメヌエット」は、柔らかく優しい音色で弾いて欲しい曲です。
この柔らかく優しい音色は、しっかりした深いタッチが必要です。
ところが、ピアノ初心者の多くの子供達が勘違いしてしまう事!
浅いタッチで弾くとその音がでると思っている事です。
これですと、発表会のようないつもより広い場所で演奏すると音がこもって遠くまで響く事が出来ません。
ですから、メロディーを聴くと一見簡単なように感じる方も多いかと思いますが、美しく弾こうとすると簡単な曲とは言えません。
まだ、習いはじめて1年のH君のピアノを弾くタッチは、まだしっかりしていません。
お母様には、「私は、一生懸命レッスンしてみますが、まだタッチがしっかりしていないH君には、この曲は発表会では弾き映しないかもしれません。」とお話ししました。
すると、お母様もピアノ経験者更にバイオリンまで演奏される音楽通の方でしたので、「先生の言っている意味は、わかります。それでもこの曲で良いです。」と御了承下さり、バッハのメヌエットを演奏する事に決まりました。
でも、一方でまだ小学1年の男の子が弾きたい曲を自分で探そうとする気持は、素晴らしい事で、感動すらしています。
でも、H君がこのように素晴らしい少年に育った影の立役者はお父様、お母様が作り上げた家庭環境も大きいと思っています。
何はともあれ、H君が納得しての発表会の曲が決まってホットしています。
ところで、H君の可愛い後日談があります。
やはり「軍隊行進曲」が弾きたいようで、その曲の連弾の楽譜を持って来たんです。
その姿が可愛くて笑いをこらえて、まだ無理とは承知の上でこう話しました。
「発表会の曲を頑張ったら、先生と一緒に連弾しようか?そして頑張れたら来年の発表会で弾けるかもしれないね!」
すると満面の笑み!
私は、例え 今は弾けない曲としても 私からは出来るだけ「無理」と言う言葉は使いたくありません。
それは、ピアノに対するモチベーションを下げるだけです。
生徒さん自身で今の自分には、まだ無理と気が付かせる事が大切と考えています。
ですから、発表会が終わったらH君と「軍隊行進曲」を弾く約束をしました。
もしかしたら、本当に弾けるかもしれません。
今は可能性が0に近くても 弾きたい曲がある事はピアノを続けて行く限り私はきっと演奏できる日が来ることを信じています。
ましてや、限りない可能性を持った子供達に対して「出来ない」などど言う言葉を発する事はしたくありません。
H君~❤ 今年の発表会頑張って「軍隊行進曲」弾けるようになろうね~♫
クラビアートピアノ教室 講師 田原礼子
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